見てはいけないものを見た! かつての「大食い選手権」の醍醐味は、まさにそれだった。ひたすら食い尽くしていく、異界の「まれびと」を見るような大食い神話時代。
やがて小林、白田の登場で、時代は「早食い」へ。異形の大食いは、フードファイターとなり、大会はアスリート競技化していった。戦うために筋トレしたりね。さらに、最新大食いトレンドは、可愛いコちゃん。ギャルやアイドル系の女子たちが、想定外の食いっぷりを披露する。もちろん食べ方もスマートで、丼に顔を突っ込んだりはしない。
昭和プロレスが「PRIDE」になって、AKBが参戦して来たような大食い界。でも今でも心震えるのは、2リットルの砂糖水片手に食いまくる赤阪さんの雄姿だ。「レジ打ちのおばちゃんが、とてつもないカンフーの達人」てな香港映画を見るようなミラクルが、確かにそこにはあった。
※週刊朝日 2016年5月27日号