妻:まさかそれが結婚の話だとは思いもせず。

夫:だめだこりゃ、と。で、また別の日。僕ね、夢を見たんです。夢の中に彼女と僕と、赤ちゃんが出てきた。やっぱり僕ら、家族になるんだ、と思って、そのことを彼女に話したんだけど。

妻:タイミングが悪くて。私そのとき、お風呂入ってたんですよ。

夫 そう。脱衣所から声をかけて「なあ美穂子、俺たち、結婚するんだな」って。「そんな夢を見たんだよ」って言ったら、すごい声で「ああ?」って(笑)。

妻:だって、何の話かわけがわからなかったんだもの。

夫:まるで体育会の合宿所ですよ。ごしごしシャンプーしながら「はあ? こんなときに何の話なわけ?」って。ああ、やっぱり全然、伝わってない、と。

妻:無理だよー。

夫:やれやれ。

妻:私は私で、それが彼のプロポーズだと思ってないもんだから、自分からプロポーズするんだとばっかり。トレーニングは厳しいし、殴られて大変だし。もう必死の思いで「結婚してください」って。

週刊朝日 2016年5月27日号より抜粋

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