SWITCH Vol.34 No.4 小泉今日子 原宿プレイバックAmazonで購入する
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SWITCH Vol.34 No.4 小泉今日子 原宿プレイバック
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 作家でコラムニストの亀和田武氏は、週刊朝日で連載中の『マガジンの虎』で、雑誌「SWITCH」の小泉今日子特集について取り上げた。

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 小泉今日子が雑誌「SWITCH」(スイッチ・パブリッシング)で「原宿百景」の連載を始めたのは07年の春だ。

 原宿の街をあちこち歩きつづけてロケ撮影し、ゆかりのある人と対談をして、さらに後日エッセイを綴る。彼女が40代の9年間を費やした連載は昨年末で100回に達した。

「SWITCH」4月号は連載完結にあわせて<小泉今日子 原宿プレイバック>に大きく頁を割いた。原宿の街と、そこに佇む小泉を撮った写真に、しばし見惚れる。街とモデルの相性が抜群なの。

 明治神宮と、そこに向かう表参道という基本設計は揺らぐことがないが、街も人も流行も激しく変化した。「九年間、定点観測をした原宿だって、どんどん変わっていった。携わったスタッフも私もどんどん変わっていった」

 写真の原宿と小泉も魅力的だが、彼女の文章が味わい深い。「同潤会アパートもハナエモリビルもウエンディーズも郵便局も今はもう無くなって」「時はそうやって進んでいく。これからも原宿からいろんなものが無くなって、私だっていつかは死んでいなくなって、それでもその時代、その時間に確かにそこに存在していた証明ってことになるのかな、この写真って」

 18歳から21歳まで、小泉は原宿のマンションに住んでいた。明治通りを千駄ケ谷に向かい、パレフランスや東郷神社の少し先に「ポツンとあるピテカントロプスっていうクラブの脇」を入った突き当たりの黄色いマンションって、かっこいいね。

 私も80年代の10年間、原宿を歩き回ったから懐かしい。ピテカンを「直立猿人に新人類が集まったのが面白い」って書いたり。小泉と原宿の9年が伝わる贅沢な特集だ。

週刊朝日 2016年5月6-13日号

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