一方で地盤状況から一定の耐震性を認めている管路もあり、それを含めた「耐震適合率」というデータも存在する。だがそれでも全国平均は36%。直下型地震の可能性が指摘される東京、大阪にしても、平均をわずかに上回る程度だ。
「耐震化率を90%にしても、残りの10%部分で破損が起きれば、一時的には断水してしまう」と担当者。だが比率を上げれば、地震時の断水リスクは確実に減る。政府は「国土強靱化基本計画」などを策定し、22年度末目標で耐震適合率を50%以上に引き上げるとするが、事業者に対する交付金総額は目立って増えてはいない。
今も苦しむ被災地の一刻も早い復旧を急ぐのは言うまでもないが、支出を検討するなら得票目当ての一過性のバラマキはやめ、リスクの高い地域に優先的に財政支援を増やし、耐震化率を底上げする。これこそ地震列島のリーダーが選ぶべき道では。
※週刊朝日 2016年5月6-13日号