大愚元勝(たいぐ・げんしょう)/佛心宗大叢山福厳寺住職。YouTube「大愚和尚の一問一答」の登録者数は約57万人。「大愚」は大バカ者=自由な境地に達した者の意
大愚元勝(たいぐ・げんしょう)/佛心宗大叢山福厳寺住職。YouTube「大愚和尚の一問一答」の登録者数は約57万人。「大愚」は大バカ者=自由な境地に達した者の意

大愚:採用の理由はどのようなものだったのですか?

岡田:それが「業績もあるのに、ひどい目に遭っているが、明るく博士論文を書いている」というものでした。不採用に耐え続けた「タフネス」が評価されたわけです。

大愚:とはいえ、否定され続けた時期は、おつらかったでしょうね。

■目的は「学校」でなく「学び」にできれば

岡田:もちろん心は折れるわけです。ただ、学ぶことを止めることはできないから、ハートは寸断されなかったんですね。社会的地位などに興味もなかった、ということもあります。好きな本を読んでゴロゴロ過ごせたらそれでいい。まあ、教授になってみると、そうでもなかったわけですが。

大愚:目的が「教授」ではなく、「学び」にあったから耐えられたのですね。中学受験も「学校」ではなく、「学び」を目的にできるとその後のショックもやわらぐかもしれませんね。

──落ち込んでいる子どもが前を向けるようになるために、親ができることはありますか?

■親の非常に誤った思い込み

大愚:親御さん自身が、「いい学校に入らなければ人生はだめになる」という非常に誤った思い込みをしていると、子どもも一緒に落ち込んでしまいます。とくに高学歴の親御さんほど、ご自身の不安が大きくて、お子さんにうまく声をかけられないのかもしれません。高校を中退した親御さんなどは、わりと平気なものです。ご自身が挫折の経験をしていますから。世の中を見ると、一流大学を出た人の方が少ないんですよ。しかし、ちゃんとみんな生きています。

岡田:僕はNPOが運営している「駒沢はらっぱプレーパーク」の世話人をしていて。どろんこ遊び、木のぼり、たき火などをする子どもたちの自由な遊びを見守っています。ここには不登校の子どもも来ています。学校は嫌だけど、学びは大好きなんですよ。不登校の理由は多様ですが、「このカメムシの観察を100時間くらいぶっ続けでしたいけど、学校じゃできない」とかだったりするんです。そんな学び方をする子は、学校には向かないし、受験も必要ないです。

大愚:お釈迦(しゃか)様も、実は社会制度から抜け出された方なのです。身分制度の中では上から2番目の「クシャトリア」という武士の階級におられたのですが、そこから飛び出した。それが「出家」です。社会の制度から抜け出すことから、本当の学びが始まったともいえます。

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