「産業が短命化し、たとえば家電メーカーも家電だけでは立ち行かなくなり、別の新しいビジネスにシフトしなければいけない状況になっている。しかし当然、社内には経験者がいない。そこで、ノウハウのある人材、特に経験豊富な40代や50代の即戦力を社外から登用しようという企業が増えています。一方で働く側は、定年が延び、おそらく今の40代は70歳ぐらいまで働かざるをえなくなる。50歳でも20年もあるわけですから、この先のキャリアを、転職を含めて考えようという人が増えてきているということでしょう」
どんな人材が50代でも転職できるのか? 同サイトでは年齢が上がるほど対象の求人数は減るが、「職能上の専門的なスキルがある人は、経験を重ねている分、20代や30代よりも有利になるケースは少なくありません」と多田さん。一方で「50代だと『管理職経験がある』という人は多いのですが、それだけでは即戦力として認められないでしょう」と手厳しい。
さらに最近増えているのが地方企業への転職だ。地方の優良企業は事業拡大のためなどに経験豊かな即戦力を求めているが、インターネットの普及によって、地方企業が全国の人材に対して求人を直接働きかけられるようになったことが大きい。一方、働く側の意識も変わってきている。首都圏在勤の会員を対象にしたビズリーチのアンケートでは「やりがいがあれば地方勤務を前向きに検討する」と回答した人が7割に上っている。移住者を増やすため、地元の優良企業と連携し移住をサポートする自治体も増えているという。
※週刊朝日 2016年3月11日号より抜粋