「これまで安倍首相は麻生太郎財務相、甘利氏、菅義偉官房長官の4人でよく話をしていました。そのときに、麻生氏と甘利氏は増税など政策の話をしつつ、甘利氏が閣僚を務めた経済産業省と、財務省の折衷案を探ったりしていたようです。二人のように、石原氏と麻生氏が親密になれるでしょうか。関係各所への政策の根回しができる能力もあるかどうか」

 実際、麻生氏は29日の会見で「石原さんは(経済分野は)あまり得意ではないかもしれないが、頑張ってもらえることを期待している」と、早くも冷ややかなコメントを発している。

 甘利氏後任は、農林水産相経験者で政策に明るい林芳正氏(岸田派)が本命と言われ、塩谷立・元文部科学相(細田派)の名も挙がったが、最終的には安倍首相と気心が知れた仲とされる石原氏に決まった。政治評論家の浅川博忠氏はこう指摘する。

「お友達内閣と批判された第1次安倍政権のときと似ています。TPPに特に詳しいわけでもない石原氏以外に、適任者がいたはず。安倍首相の党内での人間関係の狭さが影響していると感じます。万が一、石原氏が失言などで降板する事態となれば、第2次安倍政権で5人目の閣僚辞任。甘利氏の早期辞任でせっかく見えた安倍政権の挽回シナリオも狂ってくる」

 一寸先は闇──という緊張感も生まれてきそうだ。

(本誌・小泉耕平、永野原梨香)

週刊朝日 2016年2月12日号より抜粋

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