──真田家の魅力はその執念にあるんでしょうか。
それと「義」だね。武将として義を持って死んでいく。真田親子は日本人が重んじる義を持っているんです。そして、真田の名前を残したいという執念。そういう日本人が大好きな、その両方を備えた武将と言えるんじゃないでしょうか。昌幸はそれだけではなく、もっといろんな面を持ってもいますけどね。
──というと、主がころころと代わるなどの苦労ですか。
武田がなくなって、織田についたりと、今ちょうど昌幸にとって大変なときを撮影しています。今の人にしても、皆さん、そういうことありますでしょ。「あ、こういうこと俺もあるよな」っていうように、素直に演じることができていますよ。
──「真田丸」と「真田太平記」で、描写の違い、脚本の色の違いというのは感じられますか。
「真田丸」の脚本はくすっと笑えるところがちりばめられていましてね。そういった意味では、少しリラックスして演じられています。そして「えっ」と思うことがないんです。「これ本当にそうなのかな」というところがない。台詞(せりふ)はとてもナチュラルに流れていて、それでいておかしい。本当におっかしいんですよ。めちゃめちゃ面白いね。
──堺雅人さん演じる幸村は、ご自身の幸村と比べてみていかがですか。
彼は独特な感性を持っていてね。飄々(ひょうひょう)としていて捉えどころのないような雰囲気を出している。非常に魅力的な、僕とはまったく別な幸村像を作っていますよ。これからも楽しみですね。
──昌幸目線からすると、なかなかやるな、といった感じでしょうか。
そうですね、なかなかやりますよ(笑)。彼は独特だからね。他の人にはできないようなことをやってくれる人。これからどうやって幸村が成長していくのか、すごく楽しみです。
(構成 本誌・秦正理)
※週刊朝日 2016年1月15日号より抜粋