理由はまだある。一つは中央政府の財政余力だ。日本の政府債務残高はGDPの240%だが、中国は20%ほど。財政出動の余地は大きい。二つ目は「シャドーバンキング」の抑制。いわば銀行が高金利で貸す「ヤミ金」だが、大口顧客はなんと市政府だ。公共事業で債務を膨らませ「爆弾」になっていたが、各省が「地方債」で低利・長期の資金調達をする仕組みを導入。地方財政危機の芽をつんだという。
そもそも崩壊を予感させた上海株暴落時の様子に誤解もあったようだ。というのも「大損した」と号泣する個人投資家は実はごく一部。株式時価総額の3分の2を株主総数の0.02%の中央国有企業や共産党エリートが保有。損したのは主に彼らだという。
ではいつ好転するのか。津上氏は「ブレーキを踏んだので当然景気は落ちる。このバブル後の状況が10年続く」と予想する。
崩壊リスクもある。新疆ウイグル自治区のテロだ。「東トルキスタン勢力は最近『ジハード』と言い始めた。体制が衰退でもすれば、火を噴きかねない」(津上氏)
泣きっ面にテロはご免こうむりたい。
※週刊朝日 2016年1月15日号