原宿・竹下通り。
アクセサリーやアイドル写真、クレープにプリクラ。いつもにぎわう通りのど真ん中に、「ブティック竹の子」は、ある。
80年代はじめ、原宿歩行者天国でラジカセを囲んで踊る若者のグループ、「竹の子族」が社会現象になった。ダブッとしたドルマンスリーブにハーレムパンツ。どこか着物のような雰囲気もある独特のファッション。彼らがこのブティック竹の子の洋服を着ていたことが、名前の由来だ。
原宿ホコ天は今はない。竹の子族ももういないが、ブティック竹の子は、健在である。
「不動産屋に言われたんだよね、『実は真っ先になくなるかと思ってました』と。結局、竹下通りで一番長いからね。感謝されましたよ」
ブティック竹の子オーナー、大竹竹則さんが言う。原宿への出店は1978年。今も大竹さんが商品のデザインを手がける。
ギラギラ輝くスパンコールに装飾品、エナメル、羽根かざり……光沢感と極彩色。店内に「絢爛」があふれかえっている。当時を思わせるシルエットの服もある。現在は、歌手や俳優、ダンサーなどのステージ衣装としての需要が高いという。パーティー用にと購入する外国人客も多い。店内にいると、海外からの観光客らしきお客さんが、何組も「WOW!」と歓声をあげていた。大竹さんは言う。
「やっぱり外国の人が声をあげて喜んでくれるのを見ると、嬉しいね。俺のデザインは、言葉は通じなくても魅力が伝わるんだって」
店内のあちこちの商品に、
<ガガ様ご購入>
という札が貼られている。2012年に、レディー・ガガが来店、買い物をしていったのである。そう思ってみると、どの商品も、ガガに似合いそうだ。
「それこそ『ここから全部』というような、セレブ買いでした」
と、店長の黒田さん。しかし、そのサングラス姿の外国人女性客が、まさかガガだとは気がつかなかった。大竹さんはいたずらっぽく笑った。
「後からカードのサインを見てわかったんだよね。いっそそのサインを飾っちゃおうかなと思ったけどね」
(太田サトル)
※週刊朝日 2016年1月1-8日号