どんなトラブルが起こりうるのか? 萩原さんが実際に相談を受けた事例だ。

 A子さん(60代)は夫(70代)を亡くした。旅好きだった夫はリタイア後ブログをスタート。がんが見つかってからは、ブログに寄せられる応援コメントが支えにもなっていた。友人を介し亡くなったことが知らされた後もたくさんのコメントが寄せられ、夫がネットの中で生き続けるような気がして、A子さんはブログをそのまま残していた。ところが半年が過ぎたころ、夫の友人から「ブログのアカウントが乗っ取られているのでは」と連絡が入る。銀行口座から身に覚えのない名目で数十万円も引き落とされたが、その原因は、夫のブログのニセのアフィリエイト広告で買い物をしてしまったためではないか……というのだ。

 夫のアカウントを何者かが乗っ取り、ニセ広告を掲載して詐欺サイトに誘導。そのサイトで入力した名前、住所、メールアドレスやクレジットカード番号が盗まれ、多額のお金を引き落とされたとみられる。「ブログはすぐに閉鎖しましたが、A子さんは『友人に被害を与えただけでなく、夫を悪事に加担させてしまった』とひどく落ち込んでいました」(萩原さん)

 思ってもいない負債が降りかかってくるケースも。

 主婦のB子さん(60代)は、1年前に夫(60代)を突然の交通事故で失った。ぼうぜんとしていた翌日、さらに追い打ちをかける電話が入る。夫が生前、FX(外国為替証拠金取引)をしていて大損をした、ついては不足分1500万円を支払ってほしいという証券会社からの連絡だった。

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