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 吉永小百合さんが出演する119本目の映画「母と暮せば」(山田洋次監督)が、12日に公開される。息子役として共演した嵐の二宮和也さんや音楽の坂本龍一さんのこと──7日発売の新刊『映画女優 吉永小百合』で吉永さんの半生を追ったジャーナリストの大下英治さんが、吉永さんに聞いた。

*  *  *

吉永:今回の映画の出演は、一昨年の夏に、山田洋次監督からお話がありました。山田監督は、この作品には、運命のようなものを感じて、「絶対に作品にしなければいけない」と思われたそうです。私はその話を聞いて、一も二もなく、考えるまでもなく、「やります」と言ってお受けしました。

――「母と暮せば」は長崎原爆を背景にした、母と息子の物語。井上ひさしさんが生前に書いていたごく短いプロットを元に、山田監督が取材し、台本を作った。広島原爆を扱った「父と暮せば」、沖縄戦を描いた「木の上の軍隊」と合わせて、井上さんの「戦争三部作」の一つとなるはずだった。

吉永:私は、長崎に住む助産師の福原伸子役です。夫は結核で病死、長男もビルマで戦死。長崎医大生で二宮和也さん演じる次男の浩二と暮らしていましたが、昭和20年8月9日に原爆が投下され、浩二は消息不明になります。3年目の墓参の昭和23年8月9日、伸子は、黒木華さん演じる佐多町子(浩二の彼女)に、「浩二を諦める」と伝えます。ところがその夜、自宅に浩二が現れ、「ぼくは死んでるんだよ」と告げるんです。

「母さんは諦めが悪いから、なかなか出てこられなかったんだよ」

 浩二は、その後、度々現れるようになります。

 シチュエーションを考えると、ちょっとつらくて重い役になりがちですよね。でも二宮さんは笑いながら、軽妙に演じてくれています。自然に見せる天才というか、私と共演するシーンも、ほのぼのとした明るいシーンになっているんです。

――映画は2015年4月にクランクイン。長崎などで約3カ月にわたって撮影された。

吉永:二宮さんは私のことを「さゆゆ」って愛称で呼んでくれました。嵐のコンサートの時に、「今度さゆゆと共演します」ってジョークを言ってくれたのです。でも撮影が始まると、「小百合さん」って自然に呼んでくれました。だから私も「和也さん」って呼んでました。かわいい息子でした。

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