上方落語界の重鎮で人間国宝の桂米朝さんが今年3月に亡くなった。3月25日、大阪府・公益社千里会館の合同葬にて落語家の桂文枝さんは追悼の言葉をこう述べた。
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師匠、本当にありがとうございました。そして、お疲れ様でございました。生前の温かいご指導に対し、あらためて御礼申し上げます。
師匠の師匠、四代目(桂)米団治師匠は随筆の中で、「落語は芸術であらねばならぬ」と、おっしゃっておられます。米朝師匠はまさしく、その言葉通り実践されました。
人間国宝になられ、また、落語家として初めて文化勲章を受章されました。それが、何よりの証拠だと思います。
この偉業はわれわれ、上方落語家の誇りでございます。
師匠は知識が豊富だということは万人の知るところではございますが、知性が際立っているだけでなく、心優しく、涙もろいところがおありでございました。知と情と併せ持っておられるからこそ、師匠の落語はすべて魅力的だったのだと思います。