「年末調整などで個人年金保険と生命保険、それぞれ年間8万円まで所得控除の対象となります。生命保険の場合、終身保険や養老保険、学資保険は掛け捨てではなく、貯蓄機能がありますので、検討してみてもいいでしょう」(風呂内氏)

 退職時に住宅ローンを完済するには、残高の把握は必須。風呂内氏が言う。

「『ローンの残高は退職金で返せばいい』と言いながら、残高を把握していない人が多い。残高1千万円なのに、400万円ぐらいと思い、驚く人は珍しくありません。できるだけ早く退職時残高を確認しましょう」

 FPのカン・チュンド氏は、60歳で退職金が出ても、そのときに焦って投資すべきではないと指摘する。

「投資していいかは、定年後、まとまった資金や定期収入があるかで変わります」

 投資は、できるだけ現役時代から始めることだ。

「毎月コツコツ、積み立て投資が一番です。投資するとどうしても値動きばかりが気になりますが、積み立て投資で重要なのは口数です。価格が下がることで口数が積み上がります」(カン氏)

 口数とは投資信託の取引単位のこと。投信の成績は価格×口数で決まる。

「年月が経つと膨大な口数になり、価格がちょっと上がるだけで、大きな利益が得られます」(カン氏)

 だが、お金を貯める、いちばん有効な手段は節約だという。

「定年後、減っていくだけの貯金に恐怖を覚える人は多いのです。できるだけ少ないお金で生活できるように訓練しておくことは大事なことです」(風呂内氏)

(本誌・西岡千史、永野原梨香、長倉克枝)

週刊朝日  2015年12月18日号

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