フランス・パリでイスラム過激派とみられる組織による同時多発テロが発生し、世界が騒然としている。日本は大丈夫なのか。専門家たちに聞いた。
テロ集団の標的になるのはヨーロッパに限らない。パリの同時多発テロの発生時、トルコ訪問中だった安倍晋三首相は、菅義偉官房長官に対し、テロ対策に一層緊張感を持ってあたるよう指示した。
「もはやテロは遠い国の脅威ではない。いずれ日本でも起こる可能性はある」(外務副大臣経験者)
日本本土にISのテロリストが上陸する──。最悪のシナリオは今後、あり得るのだろうか。中東現代史が専門の臼杵陽・日本女子大学教授は、こう話す。
「島国で逃げにくく、銃規制のある日本は、武器の調達の面からして上陸のハードルは高い。だが、爆弾テロの可能性はゼロではないでしょう」
中東情勢に詳しいインスペックス特別顧問の畑中美樹氏もこう指摘する。
「可能性は低いでしょうが、ISに対する『有志連合』に入っているのでないとは言い切れません」
2月には、IS戦闘員が「日本にとって悪夢をはじめよう」と拘束していたフリージャーナリストの後藤健二さんら2人を殺害した。これは日本がISに対する有志連合に参加したことも理由の一つとされる。
安倍首相は殺害後、「犯人らには罪を償わせる」と勇ましく語ったが、手も足も出せないのが現実だ。青森中央学院大学大学院の大泉光一教授は、安倍首相のこうした姿勢は「介入しすぎだ」と忠告する。
「このような発言は、『日本国民はテロに備えている』というメッセージを伝えることと同じです。しかし、現実には日本は備えられていません」
日本で狙われる可能性が高いのは、どこか。志方俊之・帝京大学名誉教授はこう指摘する。