説得や議論をまともにせず、何に対してもお金で解決を図ろうとする政府や政治家の態度に、作家の室井佑月氏は「下品度MAX」だと指摘する。
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政府が沖縄県名護市辺野古の3地区に、直接、地域振興の補助金を交付すると発表した。
辺野古、豊原、久志の3地区に、今年度分で計3千万円だって。
すごいというか、エグいというか……。完全に、県や市町村、自治体ルールを無視。
(札束見せれば、いうこと聞くだろう)
そういう態度は沖縄県民にとても失礼だと思うし、自分がそれをされたら許せないに違いない。
たしかに、人間は目先の金に弱い。あたしだって、実際にものすごい金額の札束を重ねられたら、自分の意見を貫ける自信はない。
けれど、される側とする側は、立場が異なる。される側は、追い詰められていたり、選択肢がなかったりする。対して、それをする側は、
(それをやっちゃ、人としてお終[しま]いよ)
というような手段を選んだ強者である。そういう人って、そういう人って……はっきりいって下品じゃない? いくら力があっても、尊敬できるリーダーとして仰ごうという気にならない。
安倍さんのいう「美しい国、日本」とは、下品な人が跋扈(ばっこ)するような国なのか。実際にそうなってきてるように思う。
そうそう、自民に楯突くマスコミには、(資金源である)スポンサーに圧力かけろ、というチンピラみたいな議員もいたっけ。
自分の意見が正しいと思うなら、相手を必ず説得できるはずと考えないか? 説得する手間暇が惜しいのか? それとも自分の意見の正しさの根拠不足? 説得のテクニック不足?
正しさの根拠不足、テクニック不足であるのなら、なぜそこを猛省しないのか? というか、彼らが切ろうとする札びらも、自分たちの金じゃない、あたしたちの血税だ。下品度MAXですな。
いずれにしても、札びらで相手の顔をひっぱたくような行為は、差別や暴力といった類のものだと思う。
ここで肝心なのは、それに負けてしまった人を叩くことが正義じゃないということ。あたしたちはいつもそこで間違ってしまいがちだ。
弱者同士の揉め事に持ち込んで、本物のワルは責任放棄し逃げきる。もういいかげん、あたしたちも学ばなきゃ。
※週刊朝日 2015年11月20日号
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