
詩人、エッセイストの佐々木桂さんが、日本津々浦々に残る田園風景とその米を紹介する本誌連載「美し国、旨し米」。今回は、無洗米について取り上げる。
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無洗米というと“手抜き”のイメージがあるかもしれない。だが、実は米をおいしく食べる一つの手法なのだ。
そもそも無洗米とは何か。
「米を研ぐのは、精米した米にまだ残っている『肌ヌカ』というものを落とす作業。それを水を使わずにあらかじめ工場で取り除いたものが無洗米です」(全国無洗米協会)
味も栄養も普通のお米と変わらない。むしろ、無洗米のほうがおいしいことも。水で研ぐと、うまみ成分などが流れてしまうからだ。ただ、おいしく炊くには、量に気をつけたい。
「肌ヌカを除去する分、無洗米は普通の米より粒が小さい。通常の米のカップで計量した場合、多めに入ります。炊飯器の目盛りより少し多めの水で炊くのがポイントです」(同)
無洗米は価格は高めだが、研ぐ手間が省けるだけでなく、水が入手しづらい災害時にも重宝する。一度試してみてほしい。
※ 週刊朝日 2015年10月9日号