コンプリート・トリノ1986
コンプリート・トリノ1986
この記事の写真をすべて見る

レコード・ストア・デイ情報を中心に
Complete Turin 1986 (Cool Jazz)

 全米のレコード小売店が一丸となって、世界の中心で「オレたちはレコード(アナログ)が大好きだーーー!」と叫ぶイヴェント、レコード・ストア・デイ(詳細は各自チェックしてください)では、このイヴェント限定のアナログ企画を立て、実際に販売してきた。既存レコード会社が協力しているだけに一般商品としても問題なく、しかも限定ということから、世界中のマニアやコレクターの話題を集めている。

 数年前にはビートルズのシングル盤のボックス(とはいえ3枚組だったと記憶します)を発売し、ビートルマニアを狂喜させた。今年は、現時点ではノラ・ジョーンズの最新作の限定アナログ(500枚)を販売するとか。

 そしてわれらがマイルスのアナログも特別に製造、販売されることが決定している。仕様は12インチのLPで、タイトルは『フォーエヴァー・マイルス』、しかも公式には未発表の音源が1曲だけ収録されている。噂によれば、すでに出ているらしいが、この原稿を書いているマイルス者は、まだ入手していません(ひょっとしてまだ出ていない可能性もあるのですが)。

 この限定レコードは、過去の例からいっても、日本国内ではディスクユニオンで入手できる可能性が大なので、マイルス者はお見逃しなきよう(ちなみにユニオンさんは、このイヴェントに協賛・参加しています)。それにしても今年は切手といい、この限定アナログといい、ちょっと変わったコレクターズ・アイテムの登場が相次いでいるマイルスではあります。

 そこで今回のご紹介アイテムというわけですが、すでに一部が登場していた86年イタリア・ライヴの完全版となります。しかも別ソースということで、音質とバランスはサウンドボードの最上級、これでこの年のイタリア・ライヴはキマリでしょう。

 内容に関しては説明不要かもしれません。おなじみの《ワン・フォン・コール》と《ストリート・シーンズ》に《スピーク》を足してミキサーでかき混ぜたオープニングがたまらん時代のライヴであります。当時はそれほどとは思いませんでしたが、だんだんよくなるボブ・バーグが唯我独尊のソロをかまし(マイルスにあまり気を使っていないという意味です)、ロベン・フォードがホワイト・ブルースで一面を塗り替えるという展開、思うに時代を経るごとに心地良く聴こえるようになっているのではないでしょうか。それではまた来週。

【収録曲一覧】
1 One Phone Call / Street Scenes-Speak
2 Star People
3 Maze
4 Human Nature
5 Portia
6 Splatch
7 Time After Time
8 Carnival Time
9 Tutu
10 Burn
11 Jean Pierre
12 Full Nelson
(2 cd)

Miles Davis (tp, key) Bob Berg (ss, ts) Robben Ford (elg) Robert Irving (synth) Adam Holzman (synth) Felton Crews (elb) Vincent Wilburn (ds) Steve Thornton (per)

1986/7/7 (Turin)

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼