今回、一時1万7千円台まで急落した日経平均株価はその後反発し、8月28日には1万9千円台まで回復。GPIFが買い支えに動いたとの観測が出た。前出の岸本氏はこうした行動も危険だと指摘する。
「無理な市場への介入は必ずしっぺ返しを食らう。海外のヘッジファンドが、GPIFが身動きとれなくなったところを待って売り浴びせてくるかもしれない。こちらの思惑は市場に見透かされていると考えたほうがいい」
国民がコツコツためた年金資金の運用が、こんな危なっかしいことでいいのか。
「今のGPIFはガバナンスに問題がある。運用についての決定は理事長一人の責任ですが、プロセスが明らかにならない。日銀のように権限を持たせた理事会をつくり、議事録を公表する仕組みが必要です。国民のために専門家が決定するべき運用方針が政治家の都合で決められてしまっており、政府からの独立性も確保すべきです」(岸本議員)
老後の資金が、あまりに危険なギャンブルにつぎ込まれている。
(本誌取材班=村田くみ、西岡千史、小泉耕平、永野原梨香)
※週刊朝日 2015年9月11日号