
2012年12月の発足以来、堅調だった第2次安倍政権も、安保法案の衆院での強行採決などで支持率が急落。これを機に対立候補が現れるかと注目されたが、肩透かしに終わりそうだ。
1956年に1回目の総裁選が行われてから、現職の総裁が無投票で再選したケースはわずか6例。総裁選は論戦を通じて、党の政策や豊富な人材をアピールできるメリットがあるが、なぜ誰も手を挙げないのか。
時事通信の田崎史郎・特別解説委員は「安倍首相の政権運営に致命的なミスはなく、国政選挙に大勝していることも大きい」と指摘する。
「女性閣僚のカネの問題はありましたが、運営自体には大きな失敗は見当たりません。野党から追及を受ける安保法案も、きちんと自民党内で了承され、閣議決定した上で進めている。今さら批判の声を上げるのは難しい。総裁就任後、衆院選2回と参院選に大勝し、“安倍チルドレン”が多く誕生したことも、対立候補が出にくい状況を作っています」
官邸サイドも「総裁選は多額の費用がかかる」などの情報を流し、無投票再選に必死だった。党内の五つの派閥が安倍支持を打ち出しているとはいえ、対抗馬が出れば“反安倍”勢力の受け皿になる。これまでのような安倍1強の政権運営ができなくなるのを警戒したようだ。