食べることが好きで、目新しい料理が出ると目を輝かせたという (c)朝日新聞社 @@写禁
食べることが好きで、目新しい料理が出ると目を輝かせたという (c)朝日新聞社 @@写禁
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 評論家で哲学者の鶴見俊輔さんが7月20日、肺炎のため京都市内の病院で亡くなった。93歳だった。

 鶴見さんは2004年に加藤周一さん、大江健三郎さんらとともに「九条の会」をつくり、戦争をしない国を求めて活動してきた。一方で、漫画や映画にも造詣が深く、多くの文化人と交流があった。

 作家・評論家の黒川創さん(54)は、鶴見さんらが創刊した雑誌「思想の科学」に編集者として参加。鶴見さんの背中を見てきた。

「編集者というと、売れっ子作家の原稿が上がるのをじっと待つイメージがありますが、それとはぜんぜん違う。(思想の科学の)企画会議でいつもアイデアを出して圧倒していたのが、鶴見さんでした」

 同誌に寄稿したこともあるのが、作家でエッセイストの落合恵子さん(70)。同じ時期に朝日新聞の書評委員をしていた。初対面のエピソードをこう懐かしむ。

「憲法学者の奥平康弘さんのご著書の書評を前に、専門ではないからとためらっていたら、『違う角度の見方ができるはず』と背中を押してくださった。好奇心が旺盛で少年みたいなところがありました」

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