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 飛鳥時代、大宰府の防衛のため天智天皇の命で築城された日本最古の山城・大野城跡にも、“ゆるくない”キャラは存在する。“リーゼントヘアでダンスする12歳の男の子”、「大野ジョー」。12歳というか、「あしたのジョー」がちょっと太った感じだろうか。

 2010年9月に開催された「第1回 古代山城サミット」でお披露目された大野ジョーの特技はダンス。大野城跡に残る壮大な石垣「百間石垣」がモチーフだという“石垣リーゼント”で披露するキレのあるダンスは、身動きをとることすら困難になりがちなキャラが多い中、目をひく。いったいどんな人が踊っているのか気になる。

 大野城市ふるさとにぎわい課の岩下剛司さんによると、

「大野ジョーは、ダンスが得意でちょっとおませな永遠の12歳の男の子です。それ以上でもそれ以下でもありません」

 ダンスの指導は、「ジョー君の運営協力をする民間事業者の、20代の“スマートなお兄さん”」が行っているという。“お兄さん”とは、

「ダンス経験はありませんが、仮面ライダーなどのショーに長年出演していた元スーツアクターです」

“中の人”は謎だが、大野ジョーには“外の人”が大勢いる。イベントの際に一緒に歌ったり、踊ったり、その名も「大野城いちばん隊」。その他にもジョー君のテーマソングを地元のインディーズバンド「E・M・O」が作り、地元在住の元タカラジェンヌが振り付けを考えた。

“外の人”たちは、大野城市をもっと盛り上げていこうと、酒席で議論を交わすことがある。今年は大野城築城1350年。岩下さんは、抱負をこう語った。

「大野城市にはジョー君がいていいよね、とうらやましがられるよう、俺たち“外の人”もがんばります!」

 ちなみにその酒席には、大野ジョー君は12歳なので参加しないのだそうだ。

(秦正理)

週刊朝日 2015年7月10日号