決選投票となった2次審査は4対4の同票。ここで委員長・安藤が奇天烈デザインを強く推して決定となる。
神宮外苑の景観が跡形もなく変わる。“大都会における自然”が公共の建物と融和していた外苑は、東京でも稀少なエリアだ。そこに周囲と馴染まぬ巨大施設ができれば、外苑の歴史性は断絶する。
絵画館から国立、神宮球場前、ラグビー場を抜け、青山通りに至るコースを、10代の後半からどれだけ歩いただろう。スケール感あふれる優美な景観は、私の身体と記憶に馴染んだ唯一のものだ。
それが、“世界の安藤”によって破壊されようとしている。新潮の記者に問題点を指摘された安藤は「いいから、来んといてくれや。はい、さいなら……。ええ加減にせえや! もう帰れよ!」。こんな文化人が、東京をズタボロにしていくのか。
※週刊朝日 2015年7月10日号