
詩人、エッセイストの佐々木桂さんが、日本津々浦々に残る田園風景と米を紹介する本誌連載「美し国、旨し米」。今回は近年新たな発見のあったお米の歴史について。
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世界で最も古い稲作、すなわち稲作の起源は、「長江文明」があった中国・長江(揚子江)流域とされる。中国の古代文明といえば「黄河文明」を思い浮かべる読者諸氏もいるだろう。しかし、相次ぐ発見により、長江沿いにも文明が存在していたことがわかった。しかもそれが、黄河文明よりも古くからあったとも言われているのだ。
この長江文明が、お米と大きく関わってくる。黄河文明は畑作中心だったのに対し、長江文明は稲作中心だったとみられているという。さらに2005年には、長江下流にある新石器時代の遺跡から、約1万年前の栽培稲の籾殻が発見されたというニュースも伝えられた。研究によりまだまだ年代を遡る可能性もあるのだとか。お米の歴史は今後どこまで紐解かれるのだろうか。
古代のお米ロマンに思いを馳せながら、次回は、日本で食べられる古代米の話をしよう。
※週刊朝日 2015年6月26日号