各地で活発化の動きを見せる火山活動。“伝説のディーラー”藤巻健史氏は、日本の火山研究者の数が圧倒的に少ないことに驚き、暗い気持ちになったという。
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鹿児島県の口永良部島で5月29日、爆発的な噴火があった。昨年の御嶽山噴火に続き、今年も蔵王山、箱根山、浅間山の噴火の可能性が言われているし、桜島、阿蘇山も火山活動が活発なようだ。富士山の噴火の可能性もマスコミによく取り上げられる。
インドネシアのジャワ島では昨年、御嶽山の500倍と言われた火山噴火を予知し9万人に上る住民を事前に避難させ人的被害を回避できたそうだ。
また、日本でも2000年に北海道大学有珠火山観測所が大噴火を予知して1万人もの避難を実行し人的被害を未然に防いだそうだ。このようなことを考えると、日本中の火山活動が活発化していると思える現在、監視観測体制のさらなる充実を図るべきだと思う。少なくとも火山予知は天気予報ほどには充実しているとは思えないからだ。
この件に関しては、5月11日の参議院決算委員会で共産党の田村智子委員が質問していたが、質疑を聞いていた私は火山研究者の数が圧倒的に少ないことに驚き、暗い気持ちになった。
しかし、中央防災会議ワーキンググループの報告によると、日本には110の火山があるにもかかわらず、火山研究者は全国で約80人、うち大学に属する研究者は47人しかいないそうなのだ。火山大国のイタリアやインドネシアがホームドクター的な専門家を1火山に1人必ず置くようにしているのとはえらい差だ。
110火山のうち、常時観測をしている47火山には関係自治体や国の防災機関などで構成する火山防災協議会が設置されているそうだが、火山の専門家が参画していると認められる協議会は36に過ぎないそうだ。え~、専門家ではない人が協議していて大丈夫なの?
火山研究とは、地味で大変厳しい自然環境の下で行われるものだ。そうである以上、自由主義国家において専門家の数を増やすには金銭面で優遇し魅力ある職場にするしかないのではないか? 「研究者は金がすべてではない」などと、きれいごとを言っている場合ではない。
社会が必要とする職種には高給を払うべきだ。過酷な職場の脳外科医、産婦人科医、小児科医の数を増やしたいのなら、その分野の医師の収入を増やす工夫をすれば、その分野を目指す医学生は増えると思われるのと同じである。
※週刊朝日 2015年6月26日号より抜粋