金髪+マスク+大きな口にボンデージと赤マント。手に持ったムチならぬネギで、キレまくる。まるでSM嬢か悪役レスラーのような風貌だが、これが愛知県あま市商工会公認の“キレキャラ”、「あまゾネス」だ。

 きっかけは、商工会青年部のお酒の席だった。

「勢いで生まれました。名前は、“あま”という言葉から連想される言葉が“ゾネス”しか出てこなかったというのが実際のところです」

 と、あま市商工会青年部の松島誠一さんが言う。

 可愛いキャラは飽和状態の今、「同じ土俵では勝負にならない」と考えた末行き着いたのが、“キレキャラ”だったという。強そうな女性という見た目も、その名前からの発想だ。

 主な活動は、市内のイベントへの出没と、SNSを利用した、「嫌み、毒づき」。ゆるキャラ系のイベントには、「ゆるすぎる奴らがいる場所に出向き、『喝!』を入れる」ことを目的に参加しているそうだ。ちなみに手に持って振り回す「ネギムチ」のネギは、あま市の特産品。

「ネギムチが反応したら、有名無名、老若男女、誰であろうと容赦なくいきます」(松島さん)

 あまゾネスは商工会のキャラで、あま市の公認キャラではない。昨年開催された「手羽先サミット2014」では、市公認キャラ、あまがえるの「あまえん坊」と“対決”。悪役レスラー的な見た目にふさわしく(?)、公認キャラをネギムチで容赦なくたたきのめす非道ぶりを見せつけた。仲が悪いわけではないそうである。

 あまゾネス“本人”に、質問してみたところ、いま最も「喝!」だというのは、マグマや地殻だそう。

「おとなしくするゾネス!心配ゾネス!」

 と憤る。そして、本誌にも、こんな「喝!」が。

「これだけではアタシの魅力が十分伝わらないゾネス! 表紙のオファー、待ってるゾネス!」

 すみません、たぶん無理ゾネス。

(田幸和歌子)

週刊朝日 2015年6月19日号