中国の習近平国家主席とすれ違う安部首相 (c)朝日新聞社 @@写禁
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 今年3月末、中国主導で年内設立を目指す国際金融機関「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)の創立メンバーの申請の締め切り日に向けて、各国の駆け込み申請が相次いだ。

 AIIBは、資本金500億ドル(約6兆円)で立ち上げ、途上国のインフラを整備するというのが目的。

 だが、それは表向きの話で、習近平政権がぶち上げた「一帯一路」構想を実現させるための野望が見え隠れする。一帯一路構想とは何か。

 中国から東南・中央アジア、欧州まで陸路で結ぶ“一帯”を「シルクロード経済ベルト」、東南アジアから、インド、アラビア半島の沿岸部、アフリカまでの洋上を結ぶ“一路”を「21世紀海のシルクロード」と呼ぶ。この二つのエリアで、交通インフラ整備や貿易を促進させようとする構想だ。巨大なインフラ・バブルを起こそうというのだ。

 中国情勢に詳しい東短リサーチの加藤出チーフエコノミストが言う。

「AIIBの活用を想定して中国が掲げる海と陸の新シルクロード構想“一帯一路”プロジェクトに、ヨーロッパの国々は興味を強くひかれています」

 一方で、主要先進国が次々参加表明したことは日本にとっては「想定外」で、安倍政権の外交オンチが露呈した。

 自民党内では「バスに乗り遅れるな」「中国への対抗意識で議論する話ではない」という声が上がったという。4月上旬、AIIBに関する勉強会を立ち上げ、5月にも参加の是非を提言としてまとめる方向で検討に入った。

「今頃、参加のメリット・デメリットを協議するのは、遅きに失した感があります。中国の巧妙な情報戦略に日本はまんまと引っ掛かってしまった」

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