ドラマ「昼顔」出演以来、人気沸騰中の俳優・斎藤工さん。しかし、トラウマがあると、作家・林真理子さんとの対談で明かした。
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林:はじめまして。林です。今日、「斎藤工さんに会うんだ」って言ったら、みんなにうらやましがられましたよ。私の周りの人たちみんな「昼顔」にハマって大変でしたけど、「男・壇蜜」とか言われるってどうですか。
斎藤:あれはどちらかというと自分から発言したんです。僕、このところ注目されているのは一過性のものだと思っていて、自分でもそれを楽しんでる感じです。
林:この間の「an・an」(キス写真を披露)も見ましたけど……。
斎藤:ありがとうございます。そういう路線だけでやっていくのも危険かなと思っているんですけどね。僕、この仕事を始めて15年目ですけど、仕事をもらえず、誰からも相手にされなかった期間が長かったので。
林:ワイドショーのなかで、「今の人気が信じられないから、まだアルバイトの新聞配達の籍を抜いてない」っておっしゃってましたが。
斎藤:ええ、籍を置いています。今はこの仕事に専念しているので通ってないだけで、戻ろうと思えば戻れると思います。
林:斎藤さんが新聞配達をやったら、朝、女の人たちがポストの前で待ちかまえてますよ(笑)。すごいですね、この謙虚さは。
斎藤:20歳とかで今の環境を与えられたら、また違ったと思うんですが。
林:そんなに売れなかった時代が長かったんですか。この容姿、この雰囲気で。
斎藤:オーディションに行くとわかるんですけど、ほんとザラにいるんですよ。20歳くらいのときにオーディションで「君みたいなタイプは、石を投げれば当たる。個性がない」ってある監督さんに言われて……。
林:ひどい。
斎藤:そのトラウマもあって「石を投げれば当たる」自分をなんとか回避しようとしているんです。僕にとってはすごく重要な言葉でしたね。
林:なるほどね。
斎藤:でも、おもしろいことに20歳くらいのときって同世代の同業者がたくさんいるんですけど、だんだん少なくなってくるんですよね。俳優をやめて別の道に行ったり、地元に帰ったりして。綾野剛とか向井理とか、最近になって同い年のメンバーと集まるようになって、お互いの誕生会をしています。
※週刊朝日 2015年4月10日号より抜粋