
夫が主宰する劇団東京乾電池に妻も所属し、互いに俳優として活躍する柄本明さんと角替和枝さん夫婦。結婚して34年経つおしどり夫婦だが、5年ほど前、ニューヨークへの旅行で起きた心臓の痛みをきっかけに、角替さんのうつ病が発覚した。
夫「旅そのものはすごく楽しくてね。帰国してから改めて病院へ行ったんだ」
妻「検査入院の最終日にお医者さんが『精神科へ行きなさい』と。『心臓が悪いんじゃないんですか』って聞いたら、『心臓は“心の臓”ですよ』。頭と胸の痛みがつながっていたんです」
夫「以前にも本で調べて、不調の原因にうつ病を疑っていたんだよね」
妻「でもその時は、病院行こうって気持ちには全然ならなかった。怒られると思ってたんですよ。『あんたの甘えだ! もっとひどい状態の患者さんだっているのに』って。だから、初めて病院で『これはうつですね。今までさぞつらかったでしょう?』って、言葉を聞いたとたん、うわぁーって涙が止まらなくなって、まるで子どもみたいに声を上げて泣きました」
夫「10年ぐらいの間にいろんなことがあったから」