「働き盛りの35歳。エネルギーはあり余ってます!」。今回が初陣となる自民党・加藤紘一元幹事長の三女、鮎子氏。米コロンビア大の留学経験もある国際派で、党期待のマドンナ候補だ。前回の衆院選で父が1400票差で敗れた無所属の阿部寿一氏(55)に雪辱を果たすと意気込むが、大接戦になっている。

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「前回、紘一さんは体調不良だったのに、3区を酒田市長(当時)の阿部氏に譲らず、無理やり出馬した。この態度に一部の自民党県議・市議が反発し、阿部氏擁立となった。そのしこりがいまだに残っているのです」(県連関係者)

 保守分裂に加え、加藤家3代目の世襲批判にもさらされる鮎子氏。病床の父から「ドブ板娘になれ」との助言を受け、3区内を駆けずり回る。公示翌日には、谷垣禎一幹事長が駆けつけた。支援者を前に「紘一先生から長い間、ご指導頂いた私にとって、鮎子さんの初陣は万感胸に迫るものがある。立派な政治家に育てあげるので、必ず東京に送って頂きたい」と目に涙を浮かべ訴えた。

 翌日にはエースの小泉進次郎氏も登場。

「鮎子さんは私にないものを持っている。それは家族。素敵なご主人とお子様がいる。同世代の仲間として、ともに日本を変えていきたい」と持ち上げた。

 その“素敵なご主人”賢明氏(35)もフル回転だ。山形3区は面積が広く、鮎子氏が回りきれない郡部の支援者を、毎日訪れている。多い日は200軒。挨拶は必ず「加藤鮎子の夫です」。

 賢明氏は東京の大手証券会社に勤めていたが、昨年末に退職して3区の鶴岡市に移り住み、妻と長男(2)と暮らしている。

「正直、証券会社の仕事に未練はありましたけど、妻から『国のために自分の人生を懸けたい。力を貸して』と言われたら断れないですよね(笑)」(賢明氏)

 多くのサポートを受けて先頭に立つ鮎子氏。勝利のカギは「同世代の若者が投票に行くかどうか」(陣営幹部)だという。

 庄内のドブ板娘は、吉報を父に報告することができるのか。

(本誌・一原知之)

週刊朝日  2014年12月19日号