各社の序盤情勢調査が出そろった4日、目を引いたのは、民主党の海江田万里代表(65)の東京1区に黄信号がともっていたことだろう。
前回、自民の新人・山田美樹氏(40)に約1100票差で敗れ、比例に回ってから2年。この間、党の代表になり、露出が増えていたはずの海江田代表だが、今回も差を詰められず、「比例復活も危ないのではないか……」(民主党の選対関係者)という状況なのだ。
だが、対抗馬の山田氏もけっして盤石というワケではない。初当選直後の13年2月にあった千代田区長選で自公が推した候補者が落選すると、自民党幹部は激怒。山田氏を呼び、「しっかり地元を回っていないからだ」と厳しく詰め寄ると、山田氏は涙を見せたという。今回の選挙も、与謝野馨氏ら重鎮が応援に姿を見せ、公明とも強い連携がはかられてはいるが、「負けてはいけないから動いているだけ」(自民党関係者)という。
山田氏はそんなに強い候補ではなさそうなのだが、苦戦する海江田代表。今や「党の顔」であることが足かせとなっている。
これまでの選挙戦では、演説しながら街を3時間ほど練り歩く「ドブ板選挙」を続けてきたが、2日の公示日は「被災地を忘れていないというメッセージ」(海江田代表)を込めて、午前9時20分、福島県いわき市でマイクを握った後、仙台へ。夜は都内でテレビ局をはしごして収録に臨んだ。翌日以降も地方遊説の日程が詰め込まれ、自分の名前入りの候補者たすきをかけて選挙区に立てるのは、投票日まで数回にとどまる見通しだ。
そんな海江田代表に本誌記者は「ご自身の選挙区で勝算はあるのか?」と直撃。すると、ムッとした表情でこうまくし立てた。
「私は民主党の代表として全国を駆け回っている。仲間、同志が第一です。自分のためは一切考えません」
「勝ちます」という言葉は最後まで聞かれなかった。国会で泣いたことでも知られる海江田代表。投開票日、どんな顔を見せるのだろうか。
(本誌・古田真梨子)
※週刊朝日 2014年12月19日号