自民党は11月25日、政権公約を発表した。自民党が選挙に圧勝すれば、どんな政策が推し進められ、日本はどうなってしまうのか。ライターの北原みのり氏は女性活躍推進に厳しい批判をする。
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「すべての女性が輝く社会の実現を」と公約に掲げましたが、よけいなお世話だと思ってます。
「結婚や子育てを後押しするための新たな経済的支援制度を創設」「地域の実情に応じた、結婚・妊娠・出産・育児の『切れ目のない支援』を推進」などとありますが、「子供も産んで子育てもして介護もして、その上、お金も稼いでね」ということでしょう?
なぜ、男性の協力推進が言及されていないのでしょうか。従来の「女性らしさ」「妻や母の役割」を押し付けたまま、男のように働けだなんて、虫が良すぎる。
「女性が輝く」とは耳に優しい言葉ですが、そもそも安倍首相は、女性問題には非常に保守的な政治家です。安倍政権が優先しているのは、男女平等ではなく、国家の経済発展なのは明らか。国のために女性に活躍を求めるなんて、先の戦争のときと同じですよね。
集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法の施行、国民の声を無視した原発再稼働、さらには、憲法改正も言われています。
戦後史上最も過激な政権のもとで、女性政策が最も熱心に口にされていることが、私には不気味です。安倍政権に批判的な立場でも、女性政策については評価するという女性もいます。騙されてませんか? 国益のために女性の力を求めるような政府の協力に、応じるべきではないでしょう。
だいたい男性に「輝く」って使いますか? 女性は「磨くもの」と思ってるんじゃないですか? そういう視線が気持ち悪いです。
ただ、公約の一つ、「社会のあらゆる分野で、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」は実現してほしい。安倍政権は、自らそう言っておきながら、女性閣僚の数は3割を満たしていません。口先だけで本気が見えないです。
数はやはり大事です。オジサンが選んだ少数の女が権力を持つ社会ではなく、いろんな立場の女性が発言権を持つべきだと思います。そうすることで、女性も男性も、共に生きやすい政策が打ち出されるのではないでしょうか。
※ 週刊朝日 2014年12月12日号