集票力に陰りが見える企業団体に代わり、注目されるのが、宗教票の行方だ。そんな時勢もあってか、統一教会、その友好団体と接近する自民党議員の姿が目立つようになった。なかには、安倍首相の懐刀もいる。

 東京・八王子市芸術文化会館大ホールで「祝福原理大復興会」なる催しが開催されたのは、10月11日。

 この聞き慣れない奇妙な名のイベントを主催したのは世界基督教統一神霊協会(以下、統一教会)多摩東京教区だ。

 今回のイベントでは、信者による“証し”と呼ばれる信仰告白などが行われたが、メインは日本統一教会の徳野英治会長の特別講演会、「世界の平和は祝福結婚から」だ。

「祝福」は「国際合同祝福結婚式」の略称で、歌手の桜田淳子らが1992年、参加して物議をかもした統一教会の重要な宗教行事の一つだ。

 徳野会長は合同結婚式について「家庭は愛の学校」「祝福結婚から世界平和が実現する」などと熱弁を振るったが、このイベントになんと、安倍首相側近である自民党の現職国会議員らが来賓として出席したというのだ。

 今までに統一教会の友好団体とされる「国際勝共連合」や「世界平和連合」の集会に参加した国会議員がいたことが何度か判明しているが、統一教会主催のイベントに国会議員が出席するのは極めてまれだ。

 本誌が入手した資料によると、来賓挨拶の欄には、自民党総裁特別補佐の萩生田光一衆院議員(東京24区)、参議院議院運営委員長の中川雅治参院議員(東京)の名前が記されていた。

 萩生田衆院議員は安倍首相の懐刀として従軍慰安婦問題に関し河野談話の「骨抜き」発言でも注目を集めた。一方、中川議員は昨年の参院国家安全保障特別委で特定秘密保護法案を強行採決した委員長だ。元大蔵官僚で憲法改正推進本部副本部長、税制調査会幹事などを務める知恵袋的存在だ。会場にいた信者が語る。

「会場には国会議員だけでなく、自民党の近藤充都議なども来賓として出席。信者800人以上が参加していたので超満員でした。国会議員が『今日はこんなにたくさんの方が集まっていただきありがとうございます』『家庭の教育が大事』などと壇上から統一教会に気を使った内容の挨拶をすると、大きな拍手がわき起こりました」

 ちなみに、中川参院議員は昨年10月、さいたまスーパーアリーナで2万人の信者を集めて開催された統一教会創始者の文鮮明師(2012年に死去)の妻、韓鶴子氏の講演会にも大阪選出の自民党参院議員と招待されていたという。

 統一教会は文鮮明師が死去して以降も、妻である韓鶴子氏が第2教主として君臨し、日本にも数十万人の信者がいるとされる。

(ジャーナリスト・鈴木エイト 本誌・小泉耕平)

週刊朝日  2014年12月5日号より抜粋