「好きな女子アナランキング」で断トツの“ミトちゃん”こと日本テレビアナウンサーの水卜(みうら)麻美さん。作家・林真理子さんとの対談でアナウンサーになったきっかけを語った。
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林:ところで水卜さんは、子どものときからアナウンサーになろうと思ってたんですって?
水卜:小学校の卒業アルバムに書いてました。私、小島奈津子さんが好きで……。
林:なっちゃん、可愛いですよね。
水卜:「あのお姉さん素敵だな」みたいなところからアナウンサーにあこがれて。大学生になってもそれが頭の片隅にあったんですが、人に言えなかったんです。そういうキャラじゃないというか、そんなこと言ったら「ギャグだよね?」って笑われそうな気がして。でも、3年生のときに「就活どうする?」という話になったとき、初めて先輩に「実はアナウンサーになりたいんです」と言ったら、その人、笑わないで「だったらすぐにスクールに行ったほうがいい」と言ってくれたんです。それでアナウンサー試験の直前ぐらいにTBSのアナウンススクールに通って、ちょっとだけ練習しました。
林:ダイエットもしたんですってね。
水卜:しました。夜は春雨しか食べないで、それ以外もサラダばっかり。けっこう無理して、1カ月半で7キロくらいやせました。
林:すごいじゃないですか。
水卜:どうしてもアナウンサーになりたくて、やれることを全部やろうと思ったんです。
林:2千人とか3千人受けるんでしょう? 1次で何人ぐらいにしぼられるんですか。
水卜:かなりしぼられます。何十人とかになって、2次でまた半分ぐらいになって、最後5人とかになるんですけど、各局メンバーがかぶるんですよ。内定して1人いなくなり、また1人いなくなり、私は落ちて、落ちて、落ちて、「ああ、どんどんいなくなる」と思ってたら、やっと日テレに受かって。日テレの前に三つ落ちてるんです。
林:どこまでいって落ちちゃったんですか。
水卜:テレビ朝日とTBSは最終で落ちました。
林:いまごろ悔しがってますよね。
水卜:日テレには「拾ってもらった」という思いがあるので、会社に対して妙に恩義を感じてしまうんです。
林:内定の通知って、ケータイにかかってくるんでしょう?
水卜:そうなんですよ。最終の面接が終わったあと、新橋のカフェに入ったんです。本を読もうとしてもまったく集中できなくて、ずっと同じページを開いたまま、すぐ横にケータイがあってという感じでした。
林:そこでケータイが鳴って、内定の通知が……。
水卜:はい。人目をはばからず号泣して、母に「受かった!」って電話して、またブワァッと泣いて。
林:その年、日テレはアナウンサーの採用は1人だけだったんでしょう?
水卜:リーマンショック直後で、採用をしぼってた時期だったんです。同期も16人しかいなくて。
林:キー局のアナウンサーになるって、ふつうの女子大生から人生が変わっちゃいますもんね。
水卜:人生変わったと思います。あの日から。
林:芸能人でもないのに、超人気者になっちゃうし、大金持ちと結婚しようと思ってその気になったらできちゃうもんね。
水卜:できるかな?(笑)。でも、学生時代にテレビで見てた人とふつうに仕事してるんですよね。ふとした瞬間、いまだに「ワッ」と思います。あのナンチャンが私のことを「水卜ちゃん」って呼んでると思うと。
※週刊朝日 2014年11月28日号より抜粋