堀江貴文さん(41)が編集長を務めた週刊朝日ムック「xReality」が発売され、記念のトークイベントが10月23日、都内で行われた。テーマはバーチャルリアリティー(仮想現実/VR)だ。その世界へうまく誘導する「付録」をつけてみようというコンセプトで今回のムックが誕生した。
これまでVRの世界は、Oculus VR社(米国)が開発したヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift(以下、オキュラス)」などを使って見ることが主流だった。オキュラスは、2012年にクラウドファンディングで240万ドルの開発資金調達に成功して注目を集めたベンチャーで、14年3月にはフェイスブックが20億ドルで買収。VR業界の草分け的存在として知られているが、日本でまだ2万~3万台しか輸入されておらず、高価格(4万円)だ。
そのため、今回のムックには理化学研究所(埼玉)の医学博士、藤井直敬さんが開発したオキュラスの簡易版といえる「ハコスコX」を付録につけたのである。
「ハコスコを組み立てて、スマートフォンを差し込めば、視覚的にはオキュラスと同じような効果が得られます。ご自分のスマートフォンからムック『xReality』が用意したアプリ(30種)をダウンロードしてもらえば、恐竜時代にタイムトリップできたり、憧れのアイドルとデートをしたり、世界遺産を360度パノラマで見られたりと、さまざまなVR体験が簡単にできる」(藤井さん)
イベント会場には、それらのコンテンツが多数、展示された。テレビ朝日メディアプレックス(東京都港区)から「ジュラシックアドベンチャー」。Panokano Projectからは憧れのアイドルと一緒に足湯に浸かったりできる「ぱのかの」。世界遺産をジェットコースターで走りまわる積木製作の「ファンズワースコースター」などの展示ブースが設けられた。
「これらの作品はもともとオキュラス用に作られたものでしたが、『ハコスコX』で見られるよう簡易版に作り直してもらいました。イベントで展示されたものはオキュラス用のVRなので、迫力はさらに増します」(同)
各展示ブースからは、時折、悲鳴とも取れる声が聞こえていた。港区から参加した楢崎綾子さん(30代・会社員)は興奮さめやらぬ様子でこう話してくれた。
「これがあれば自宅が遊園地のようになる。頭を動かすと360度自分の視点になるので、一度では味わい尽くせないです」
イベントでは、VR体験会とあわせてトーク座談会も開かれた。座談会には編集長の堀江さん、「ハコスコX」開発者の藤井さん、「xReality」のグラビアに登場するアイドルの鎌田紘子さん、オキュラス専門家の「オキュフェス」代表の高橋建滋さんが参加した。
「僕らの話なんて聞かなくていい。VRの体験ブースがあるので、そこで実際にVRの世界を体験してください」と、“ホリエモン節”でトークはスタート。
藤井さんも、「文字や絵で紹介されても、VRの魅力は伝わらない。でもオキュラスは高性能のパソコンが必要だし、価格もまだ高い。今回、付録つきのムックという形にした試みはVRを普及させる意味で重要だと思う」と話した。
「ハコスコX」の注目のコンテンツとして紹介されたのは、鎌田さんを3Dスキャンで撮影して作られた3Dアイドル動画だ。スマートフォン(現在はアンドロイド携帯のみ対応)を「xReality」の鎌田さんのグラビアページ(78ページ)にかざすと、CG化された水着姿の鎌田さんが雑誌から浮き上がって見える仕掛けになっている。
「こういうのは初めてだったので、できあがりを見てびっくりしました。今後、日本初のCGグラビアアイドルとして頑張っていきたいです」(鎌田さん)
「xReality」では、かねて堀江さんが大ファンだと公言するAKB48の島崎遥香さんとの対談も実現。
VRについてあまり詳しくない島崎さんに「近い将来、握手会はVRを用いたバーチャル握手会になる」という話で盛り上がった。VRについてあまり知識がない人でも、漫画家の西アズナブルさんが描いた漫画「VR入門」を読むと、VRの基礎的な話や今後どうなっていくのかが理解できるようになっている。
(本誌・竹内良介)
※週刊朝日 2014年11月7日号より抜粋