米国へホームステイに出発する佳子さま(2013年8月) (写真:読売新聞社代表撮影) (c)朝日新聞社 @@写禁
米国へホームステイに出発する佳子さま(2013年8月) (写真:読売新聞社代表撮影) (c)朝日新聞社 @@写禁
この記事の写真をすべて見る

 秋篠宮家の次女、佳子さま(19)が学習院大学を辞め、AO入試に挑んだことで話題の国際基督教大学(ICU)。結果はまだ公表されていないが、迎えるためにはやはり大学側も、入念に準備するのだろう。

 ところでなぜ、佳子さまと眞子さまの姉妹は、キリスト教精神に基づく大学を選んだのか。天皇は天照大神の子孫とされ、一切の神儀祭事は神道にのっとって実施されている。だが、皇室とキリスト教の関係を調べると、公開されたばかりの「昭和天皇実録」に興味深い記述がいくつか見受けられる。

 まずクリスマスにプレゼントを贈る習慣は、1904年の日露戦争のころにすでに皇室にあった。戦後、A級戦犯が処刑された1948年ごろには、昭和天皇は多くのキリスト教徒と接し、定期的に聖書の講義も受けていたと記されている。

 また、実録ではこんなエピソードを伝えている。皇太子(いまの天皇陛下)が結婚する際、皇太子妃(美智子さま)がミッション系の聖心女子大出身だったことから、「ある皇族の一人がキリスト教に興味を持ったのは皇太子妃の影響」と聞いた昭和天皇が美智子さまに「皇室においてキリスト教の話はしないように」と叱責したというのだ。実はこれらは当時の雑誌が書き立てた噂話で、昭和天皇は「事実でないし、心に思ったことさえなかった」と伝えるよう側近に命じたと実録は記している。

 京都産業大学の所功名誉教授(日本法制文化史)が解説する。

「皇室とキリスト教の関係を、狭い宗教の観点から考えると事実を読み違えるでしょう。明治以降、欧米からさまざまなことを学びながら近代化してきた中で、キリスト教もひとつの西洋文化として、柔軟に受け入れてきたのです」

 その流れは現代まで脈々と続き、眞子さまと佳子さまがICUを目指すことになったのは、何の不思議もないことなのだ。そんな歴史と伝統を受け継ぎながら、学習院という皇室の「殻」を破った佳子さまの新たな青春のスタートが待たれる。

週刊朝日  2014年11月7日号より抜粋