いろいろな埋葬の仕方を見学する「終活」のためのツアーが増えている。葬儀会社の「セレモニー」が開催する海洋散骨の体験ツアーでは、東京湾の観音崎沖で、模擬遺骨の上新粉と別れの花をまく体験ができる。
「人は海から発生したから海に還るのがいいと思って」
そう話すのは8月25日のツアーに夫婦で来ていた64歳男性。自分たち夫婦と妻の母親の行く先を考え、参加した。
この日はあいにく海が荒れ、船酔いする人も。だが、実際の場合も天気は選べないもの。リアルな体験になり、男性は「とても参考になった」と話していた。
シニア世代向けの日帰り旅行を企画する「ぽけかる倶楽部」でも、終活ツアーが人気。記者が参加したのは、東京都港区にある浄土宗道往寺の高輪庭苑の樹木葬や、終活カウンセラー協会が主催する「終活フェスタ2014in東京」などを巡るもの。高輪庭苑は宗派を問わず、誰でも入ることができる。「泉岳寺駅から徒歩1分と立地もよく、ここなら子どもや孫が来てくれるかもと安心される方も多い」と担当者は話す。
ツアーには、女性の参加者が多かった。友人と参加した埼玉県在住の60歳の女性は樹木葬か海洋散骨を検討しているという。
「夫の実家の立派なお墓はあるけど、死んでまで夫や姑と一緒の墓には絶対入りたくないの」
そう話す表情は明るく、遺影は「大好きな演歌歌手と一緒に撮った写真と決めている」と嬉しそうに答えてくれた。また、別の60代女性は「死んだら、何もなくなるのが理想」とも。
「お墓に入れられてしまうという不安がなくなり、最終的に行き着くところが決まれば、それまで楽しく生きていける!」
どこまでもポジティブなのが印象的だった。
※週刊朝日 2014年9月26日号