『週刊朝日』の長友佐波子編集長が企業で輝く女性にインタビューする「フロントランナー女子会」。今回は、日本サブウェイの庵原(いはら)リサ取締役営業統括本部長です。
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長友:庵原さんはずっと営業畑だったんですか?
庵原:入社2年目で営業支店に配属になったんですけど、当時はまだ女性の営業職はいなくて、アシスタントをしていました。でも、そろそろ女性の営業職を作ろうという機運になって、1号目になる予定の先輩も決まっていたんですけど、赤ちゃんができて席が空いたんです。そこで「やりたいです」と手を挙げたら「どうぞ」となって。それでサントリー初の女性営業職になったんですよ。
長友:へえ~。そもそも営業がやりたかったんですか。
庵原:目の前に新しいチャンスがあったのと、入社したときからぼんやりと外食産業に興味があったので。当時は「置き回り」という言葉があって、渋谷の飲み屋街をモルツのビンを持って「取り扱ってください」と回ったり、酒屋さんの倉庫を掃除して「大将、これだけ空いたから何ケース買って!」なんて、笑顔と体力で乗り切るようなベタな営業をしていました(笑)。
長友:それが法人営業だと勝手が違った?
庵原:全然です。外食産業に特化した法人営業部隊ができるというので喜んで行かせてもらったんですが、今度は先方の経営課題を捉えて、それをサントリーグループのリソースを使ってどう解決していくのか、みたいなことが問われる。相手の経営課題もさまざまですし、特に課題が財務戦略で、MBAホルダーの経営者だったりすると、日本語なのに何を話しているか意味がわからない(笑)。それでうまく取引できなかったり。ビジネスパーソンとしての知識のなさや、直感に頼りすぎた思考癖などを見直そうと思って、40歳のときに大学院に入ったんです。
長友:外食をやりたかったということは、サブウェイ出向も自分で手を挙げた?
庵原:そうです。ずっとラブコールを送っていました。
長友:やっぱり自分がやりたいことがあれば口に出さなきゃダメですね。
庵原:絶対そうだと思います。女性ってどこかで「私なんて症候群」があると思うんですよ。「私なんて」と言いつつ「庵原さんすごいじゃないですか」って言われたい。私もそういうところがあったけど、それはズルいし、いざ目の前にチャンスボールが来たときにビビって取り損ねたりするので、やめようと思って。