ギリシャ戦開始30分前の午前6時半、渋谷のスクランブル交差点には、青いユニホームのサポーターが続々と集結。数十人の警察官が巡回し、緊迫感を漂わせていた――。
それもそのはず。15日のコートジボワール戦後には、日曜日とあってか大勢の群衆が、誰かれ構わずハイタッチ。人混みに紛れた痴漢行為が多発し、現行犯逮捕される者まで出た。第2戦後もパニックが起こるのでは、と記者は早朝の渋谷に降り立ったのだ。
7時 キックオフ。さすがに渋谷の街も人通りは少なくなり、交差点の各所に陣取ったテレビカメラの列だけがあらわになっていた。
7時50分 ハーフタイム。ご存じDJポリスが通りかかる外国人に試合状況を確認する微笑ましい光景も。
8時50分 試合終了。0-0のドローで、街全体からため息が漏れる。
8時55分 サポーターが続々とスクランブル交差点に集まってくる。それを待ち受ける約800人の警察官。DJポリスがハンドマイクで、「立ち止まらないでください!」と怒気を含んだ声で注意を促(うなが)している。交差点の斜め横断を禁止する柵が設置され、信号が変わると同時に警察官による人の鎖で横断歩道を分断、ハイタッチを完全に防御する作戦だ。
暴動が起きずに記者がホッとしたのもつかの間。9時半ごろ、センター街の入り口で50人ほどの群衆が騒いでいる! ふなっしーの被り物をした男性が中心となり、大久保選手のサインが入ったW杯優勝トロフィーのレプリカを掲げ、「ニッポンコール」を連呼。待ってましたとばかりに人さし指で天を指すポーズで便乗する人や、それを撮影するため押しかけるマスコミのカメラで身動きができないほどに。
「今なら痴漢できるぞ~」と悪ノリする男性まで現れたが、「まわりの迷惑になる行為はやめてください!」と今大会から初お目見えのDJ婦警に警告を受け、瞬く間に20人ほどの警察官に解散を促された。
9時55分 人通りも一段落し、不完全燃焼でもやっとした空気が漂う。しまいには、疲れ切ってガードレールに座る女性に、「(コロンビア戦の)25日もよろしくね」と連絡先を交換しようと必死にナンパを繰り返す男性も。
交差点での決戦も第3戦に持ち越されたようだ。
※週刊朝日 2014年7月4日号