昨年末、約6年ぶりに1万6000円台を突破した日経平均株価 (c)朝日新聞社 @@写禁
昨年末、約6年ぶりに1万6000円台を突破した日経平均株価 (c)朝日新聞社 @@写禁

 一昨年と昨年のアベノミクスで急激に上がった日本株。リーマンショック以降、昨年のピーク時には4兆2千億円もの投資をし、その多くをすでに売り抜いた中国政府系ファンド。だが、こっそりとまだ保有している銘柄がある。

 2013年9月期から14年3月期の間に、三井金属を1185.2万株、豊田自動織機を423.6万株などの日本株を購入している。

 中国政府系ファンドのように、日本株を買うプレーヤーが増えることは、株価の上昇につながるため、歓迎すべきことだ。だが、尖閣諸島や靖国神社参拝問題で日中関係がたびたびギクシャクするなか、証券会社の街、東京・兜町の関係者の間では、今後を心配する声も上がる。

「日本企業に投資して利益を得るだけだったらいいんですが、中国は、政府と企業との距離が近い。マネーをどんどん入れてきて、結果的に技術力を中国企業に持っていかれたりしないだろうか」(証券関係者)

 確かに、日本が強い部品メーカーなど技術力のある企業への投資が多い。中堅の不動産企業への投資が多いのも、

「日本の不動産を手に入れるためにちょうどいいのでは?」

 との臆測も飛び交う。

 取り越し苦労なのかもしれないが、優良企業を選ぶのがうまい中国政府系ファンドだからこそ、今後の動向が気になるところだ。

週刊朝日  2014年6月27日号より抜粋