「短期間でコロコロ代わる『弱い首相』では大胆な妥協も国民の説得もできないため、北朝鮮は『日本政府が認定した拉致被害者と特定失踪者らから数人を選んで帰国させて終わらせる』ことに踏み出せないでいた。しかし4月に消費税を上げても支持率の落ちない安倍首相の強さ、拉致問題への変わらないこだわりを見て『全面調査』の日朝合意を決めた……それが日本の情報当局の分析です」
野田政権で拉致問題担当相を務めた松原仁衆議院議員もこう語る。
「野田政権は12年、北朝鮮のミサイル発射予告を受けて、予定していた日朝協議を慌てて延期しました。だが、安倍首相は今回、北朝鮮が3月末にミサイル2発を日本海に発射したにもかかわらず、4日後に北京で局長級協議を断行した。本気だという強烈なメッセージとなったのです」
こうした経緯もあり、日朝双方が「今回は本気になっている」と盛んに報じられているが、韓国情報筋はこう分析する。
「日本側が要求する『本気』は『最低でも特定失踪者数人の帰国』で、北朝鮮側は『先に食料援助、制裁解除をしてくれれば本気で再調査する』という意味。交渉が進めば、双方の齟齬(そご)があらわになるのではないか」
(本誌・小泉耕平、上田耕司、福田雄一、平井啓子、横山健)
※週刊朝日 2014年6月13日号より抜粋
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