「橋下君と出会ったのは人生の快事」とまで言った石原氏。年齢差は37歳で親子のような関係だった (c)朝日新聞社 @@写禁
「橋下君と出会ったのは人生の快事」とまで言った石原氏。年齢差は37歳で親子のような関係だった (c)朝日新聞社 @@写禁
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 無謀な合併から1年半――。ついに日本維新の会が分裂した。共同代表の石原慎太郎氏は新党を結成し、公明党を押しのけ、安倍政権との改憲連立を企む。

 予想外に健闘している石原氏だが、実は今回の分党劇に至るまで周到な準備をしていたようだ。みんなの党幹部が打ち明ける。

「実は石原氏は代表の浅尾(慶一郎氏)や幹部らを数週間前から議員会館の事務所に順番に呼び、一対一のさしで政策などについて話し合っています。石原さんは『江田とは組めないから、遠からず俺は維新から出ていく。自主憲法制定、集団的自衛権に関する考えなどは、むしろ、俺はみんなの党と近い。この後、一緒に協力していこう』と熱心に語っていた。つまり石原さんは橋下氏と袂を分かつことを前提に、仲間を増やす策を着々と練っていたのですよ」

 そして維新の分党が決まった5月30日、石原氏に近い維新議員と、みんなの党の一部議員が議員連盟「自主憲法研究会」(共同代表・維新=山田宏衆院議員、みんな=松沢成文参院議員)を結成し、話題を呼んだ。

 その発表文書には役員としてみんなの党の松沢、浅尾、江口克彦、和田政宗の合計4議員の名前が列挙されている。同党の参院議員が打ち明ける。

「研究会に名を連ねた4人ですが、浅尾さんは党代表だから石原新党入りはない。でも他の3人は石原さんに政策も近いので、新党に行く可能性もあります」

 元自民党議員が多い石原新党の今後の目標は古巣、自民との連携とされる。

 石原氏は分党会見で記者団に安倍政権への協力を問われると、安倍首相を「非常に高く評価している」と力を込めて絶賛し、連携に強い意欲を見せた。

「日本をもう一度取り戻すということはとても大事なことで、保守の源流として、私たちが成就しなければいけない大きな命題だと思っている」

 石原氏にとって現在の日本国憲法は「米国の押しつけ」であり、自主憲法制定は文字どおりの悲願。だが集団的自衛権の行使容認も含め“障壁”として立ちはだかるのが自民と連立を組む公明党だ。石原氏は会見でこう吠えた。

「私は前の党首討論の時も、安倍総理に申し上げた。必ず公明党は足手まといになりますよと。そのとおりになってきている」

 そして安倍首相をこうも援護した。

「日本に個別的自衛権って果たしてあるんですか。自衛隊を構えながら交戦規定がはっきりしていない、こんな国、世界中ありません」

(本誌・一原知之、原山擁平、今西憲之)

週刊朝日  2014年6月13日号より抜粋

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