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 こんなにも日本中から愛されたアスリートはいただろうか。日本フィギュア界を背負ってきた浅田真央(23)=中京大=について「越智インターナショナルバレエ」社長の越智久美子氏は「学びたい」という貪欲さを持った選手だとこう語る。

*  *  *

 初めて真央が来たのは、3歳のとき。お母さんの匡子(きょうこ)さんが「スケートを上手になるにはバレエが大切」と言って、12歳までバレエをやっていたんです。

 今でも覚えているのは、真央の「目力」です。吸収したい、学びたい、身につけたいという気持ちがビシビシと伝わってきました。

 ウチを離れてからはスケートに専念していましたが、2012年9月に突然、真央から「またバレエをやりたいんです」と電話がありました。

 当時のフリーの曲が「白鳥の湖」で、バレエの代表的な作品だと。だから表現力を磨きたいということでした。実は、私は母の匡子さんから生前に「真央に何かあったらお願いします」と頼まれていました。だからすぐに引き受け、ウクライナ出身のダンサーで国際的に活躍するワディム・ソロマハに指導を頼みました。

 それから、ジャンプの回転や手の上げ方、視線などを指導する日々が始まりました。ワディムは教えたことを一心不乱に身につけようとする真央の姿を「サムライだ」と表現しました。

 ソチ五輪直前の1月にも、ワディムが練習を見に行ったので、戻ってきたワディムに「真央はどうだった?」と聞くと、「調子はいいよ。完璧」と言っていたので期待が膨らみました。

 フリーでは真央が4年間かけて積み上げたことがきちんと出せて、本当にうれしかった。指導した手の指先や視線の動きもしっかりできていた。

「本当にお疲れさま。多くの希望や感動をありがとう」と言ってあげたいです。

週刊朝日  2014年3月7日号