作家の北原みのり氏は、当時、東大の助教授だった舛添要一氏の授業について、友人が馬鹿にしていたことを覚えているという。

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 都知事選の結果はどうなったんだろう。この原稿を書いている今、舛添要一さんの過去の発言、「僕は本質的に女性は政治に向かないと思う」「女は生理のときはノーマルじゃない。異常です」がネットを中心に話題になっている。

 この発言は1989年のもの。参議院選挙で史上最多数の女性議員が選ばれた年だ。社会党委員長だった土井たか子さんの言葉、「山が動いた」は有名だけれど、あの時、「時代は変わる!」と多くの人が思えたものだ。当選した女性議員は当選者全体の17.5%。2007年の参議院選挙までその記録は破られなかった。

 ちなみに舛添氏は当時、国際政治学者として東大の助教授を退官したばかりだった。大学生だった私には彼の授業を受けている友人がいたけれど、その友人が「舛添先生は、自分が会った有名人の話ばかりしていて、授業にならない」と馬鹿にしていたのを、よく覚えている。舛添さん風に言うならば、「邪念の強すぎる権力志向の男は、政治家になってほしくない」という感じでしょうか。

 
 もちろん25年前は、平気で女性差別発言をする男は、今より多かった。「セクハラ」という言葉も一般的ではなく、「痴漢」だって「犯罪」という認識が限りなく薄かった。とはいえ、やはり「日本最高峰の知の現場」(ですよね?)である東大の助教授だった人の発言としては、当時としても相当な暴言だった。

 だいたい女の月経など体験できようもない男が、「わかったようなこと」を言えること自体、舛添氏の倣慢な人間観を表しているじゃないか。選挙の結果がどうなったか分からないけれど、舛添氏が知事になったらイヤだなぁ。

 大阪では、橋下市長が、また、気勢を上げている。去年の「猛者集団には慰安婦が必要だった」の発言を、私は一生忘れないと思う。私は「男の性欲」については、よく分からないけれど、舛添さん風に言うならば、「毎日性欲が強すぎる男は異常。性欲コントロールできない男性は、政治家に向いてないと思います」と言いたくもなる。

 女を大切にする男に、政治家になってほしい。

週刊朝日  2014年2月21日号