オーナーのヴィクトリアさん
オーナーのヴィクトリアさん
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 2022年最大の国際ニュースといえば、ロシアによるウクライナ侵攻だろう。日本でも抗議行動が頻発し、なかには不当な嫌がらせもあった。東京・銀座にあるロシア食品と雑貨の「赤の広場銀座店」もその一つ。2月28日、店頭に置いてあった看板が何者かによって破損されたのだ。

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「とても悲しかった。店名がモスクワを代表する広場だからでしょうか?それともロシアの品物を扱っているからでしょうか? 私はウクライナ生まれのウクライナ人なのに……」

ロシア食品店「赤の広場」
ロシア食品店「赤の広場」

 当日を振り返るのは、オーナーのミヤベ・ヴィクトリアさん。店にはマトリョーシカが置かれ、レジの後ろの壁は「赤の広場」を描いた絵が飾られていた。ロシアだけでなく、ウクライナ、アルメニア、ウズベキスタンなど旧ソ連の国々の名産がズラリと並んでいる。

「私たちは、安心安全でおいしい食品を紹介したいだけ。今、働いているスタッフもウクライナ人3人に、ウズベキスタン出身のロシア人、ロシア人とニュージーランド人のミックス、もちろん日本人もいます。食品や雑貨を通じて様々な国の架け橋になりたい。それが私の目標であり、夢です」

 ヴィクトリアさんは1974年、欧州最大級の原子力発電所があるザポリージャで3人姉妹の末っ子として生まれた。大学卒業後に来日し、2000年に日本人と結婚。外国人モデル事務所を経営後、09年にロシア産食品の輸入会社を立ち上げ、21年3月、念願だった「赤の広場」を開店した。

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