石原慎太郎氏(80)が東京都知事の職を投げ出してから早2週間。最初に手を挙げたのは前神奈川県知事の松沢成文氏(54)だった。しかし、まだ出馬表明もしていない猪瀬直樹副知事(65)の圧勝情報が独り歩きし、石原氏の長年の側近たちがすでに、猪瀬氏の脇を固めているという。そんな状況をどう思うのか。改めて松沢氏に聞いた。

「前回の知事選については、結果的にだまされたという思いはある。石原さんに裏切られたけど、僕は都知事選をやるつもりだったんですよ。でも、3月11日に地震が起きて、任期が4月まである以上、神奈川県知事として震災後の対応をしなければならない。それで出馬を取りやめました」

 その後、石原氏と連絡はとったのか。

「まったくないですね。電話の一本もないです。そんなものかなと思って、こちらもしませんでしたけど」

 今回、猪瀬氏を後継指名したことについて、どう感じているのか。

「十分ありうると思っていました。石原さんが誰を指名しようと関係ない。猪瀬さんが悪いわけじゃないですし」

 石原氏がわずか1年半で都知事を辞めたことは、どう評価しているのか。

「こういう辞め方をしたら、普通の知事なら政治生命が終わります。でも、『国政が大変だ』と石原さんが言えば正当化されてしまい、ほかでひどいことをしても不問に付される。石原さんのカリスマ性はそういうところにあるんです。まあ、何をするかわからない人ですから。ただ、都政を裏切って出たんですから、第三極は投げ出さないでほしいですね」

週刊朝日 2012年11月23日号