昨年9月下旬、米司法省のエリック・ホルダー長官は新たに日本企業9社が自動車部品をめぐって価格調整を続けて反トラスト法(米国の独占禁止法)に違反してきたと認め、罰金の支払いに応じたと発表した。長官自ら会見に出たことからも同省の意気込みは明らかだった。
ホルダー長官の会見後も摘発は続き、昨年12月までに23社が有罪を認めて、総額18億ドル(約1880億円)を超える罰金の支払いに応じている。このうち、21社は日本企業だ。これまでに日本人25人を含む26人の責任が問われ、このうち20人は司法取引に応じて禁錮1年1日から2年の実刑判決を受け入れている。
カルテル事件に詳しいドナルド・クラウィター弁護士と一緒に、複数の関係者の代理人を務めるジェニファー・ドリスコール・チッペンデール弁護士が分析する。
「ケイレツ(系列)という言葉に象徴されるように、日本企業は互いの協力を重んじてきた。それは敬意に値することだが、残念ながら反トラスト法には触れる。今起きているのは、日本流の仕事方法と、米国流の市場原理による競争の衝突でもある」
さらに、こう付け加える。
「捜査が日本を狙い撃ちしていることはないと思う。しかし、司法省は日本企業の特性や、こうした事件での摘発のしやすさを熟知している」
米国の場合、カルテル事件の時効は5年。捜査は現在も進行しており、摘発される企業の数や、実刑を求められる社員がさらに増えるのは間違いない。また、いくつもの企業が摘発されたことで、自動車部品以外の分野にも捜査が広がる可能性がある。
※週刊朝日 2014年1月17日号