今年4月に消費税が増税される。しかし、日本が「高福祉国家」を維持するには、それだけでは済まないと、元モルガン銀行東京支店長などを務めた藤巻健史氏は警告する。
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昨年9月にデンマークの社会福祉委員会一行が参院厚生労働委員会を訪問した際、私も一つだけ質問させていただいた。
「デンマークはじめ北欧諸国は『高福祉国家』として日本でも有名です。話をお聞きしていると、今後は日本ほどではないにしても高齢化による社会保障費の上昇が懸念されるとのこと。現状25%という消費税(軽減税率なし)の増税議論は、ないのですか?」
世界でも珍しい「国民皆保険」という高福祉国家の日本で消費税が10%で済むはずがない。日本は先進国でもっとも消費税率が低い。それだけではなく、課税最低限の水準が高いので、所得税を払っている人の割合も世界の先進国と比べて極めて低いのだ。
国民全体の高福祉を一部の人の負担で維持するのは、もはや無理である。「高福祉/(国民全員の)高負担」か「低福祉/低負担」か。どちらを選択するか、時期が到来している。
日本経済新聞(昨年12月11日付)には〈(日本は、すぐにではないが)消費税率を最高53%まで徐々に引き上げる必要がある〉という論文が載っている。53%!である。〈筆者の個人的見解であって、米連邦準備制度(理事会=FRB)の意見ではない〉と断ってはいるものの、れっきとしたアトランタ連銀上級政策顧問であるR・アントン・ブラウン氏の論文である。
※週刊朝日 2014年1月17日号