写真は、JRとはまた違った構造と独特の風景を持っている、空から見た私鉄の車両基地だ。
大手私鉄16社に東京、大阪、名古屋の公営地下鉄などを加えた車両基地の総数は、149カ所。国鉄時代から引き継がれた広い敷地を持て余し気味のJRの車両基地に比べ、私鉄の場合は一見、手狭な感じに見える。特に大都市の主要駅周辺に設けられた基地は、周辺の都市化に伴ってビル街や住宅地に囲まれているところもある。そのため、騒音対策などにも気を配って作業を進めなければならない基地も多い。
一方で、沿線人口の増加によって車両数を増やさざるを得ないという“ジレンマ”にさらされ、郊外の田園地帯に車庫機能を移設するケースも見られる。こちらはJRの車両基地に負けない広大なスペースを持ち、周辺の緑の中に忽然と現れた、未来の宇宙ステーションのような雰囲気を醸し出す。
鉄道会社の多くは年に1、2度、車両基地や工場の一般公開や見学会を行っている。近年の鉄道ブームもあり、入場定員制をとるところでは、抽選倍率が10倍以上になるケースもある。
※週刊朝日 2013年11月29日号