4月の「無罪」判決以降、活字媒体として初となる独占インタビューに応じた「国民の生活が第一」代表・小沢一郎氏(70)。そのなかで、日本の極右化を「悲劇」だと明かした。

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――それにしても、小沢さんが大きくしていった民主党ですが、結局、二大政党制には…。

 ならなかった。だから、もう一度やりなおさないといけない。民主が、もう全然だめだから。自民も、もう少しペシャンとなって、新しい芽が吹き出てくればよかったんだけど、最近また元気になってしまって。中途半端なまま、また政権と言いだしているようだから、ちょっと困っちゃった。自民党にとっても、日本にとっても、よくないことですね。

――日本に二大政党制は向かないんじゃないか、という議論も出ています。

 向かないというよりも、2大政党を中心とする議会制民主主義の理解が、まだ進んでないということです。日本は、まだ民主主義が成熟していない。いちばんの責任は国会議員にありますが、それを選ぶ国民にもまた責任がある。3年前の選挙では「ちゃんとやってくれるだろう」という期待感が大きかっただけに、その反動が怖い。自民も民主もダメ、政党政治もダメとなってしまうと、民主主義の否定につながってしまう。

――今後の政党政治はどうなるんですかね。

 極論が出てくる。世界的な激動の時代に、大変だ、大変だとなると、やはり極端な議論が強まりますよね。

――極右、極左ですね。

 そう。日本の場合は右バネが強いでしょう。欧州もそうだけど、日本はもっと強く出るだろう。それは悲劇だね。

――その意味で、尖閣問題を中心に、日中関係が非常にギクシャクしています。まさにその右バネが強くなる土壌ができています。

 このままだと余計そうなる。ただ、国民の意識がかなり進化してきているから、昔のように単純にブワーンとは振れないだろうけど、長引けば右の意見が強くなってくるでしょうね。

週刊朝日 2012年11月9日号